ジャンプ力を上げるために

掲示板で最も質問の多いジャンプ力に関するへりくつです。身体の使い方とトレーニング方法について書いてみました。それではどうぞ!

第0段階・・・ジャンプすること

 何をおいても、まずはジャンプする事。それ自体が一番のジャンプ力アップ法です。バレーボールを始めて間も無い方にとっては特に重要です。ジャンプ動作を神経が記憶し、筋肉の収縮速度が上がる、動作がなめらかになる、などの効果があると思われます。バスケットゴールのボードやリングを目標にスパイクジャンプやブロックジャンプを繰り返し行いましょう。

 また初心者以外の方でも、筋トレのセット間にプロックジャンプ・スパイクジャンプを織り交ぜるなどは大切な事で、このようなアドバイスは多く見られます。


第1段階・・・なめらかで力強いフォームを身に付ける

●「なめらかさ」の秘密

 ここからが本題です。まずはなめらかで力強いフォームを探っていきましょう。私が思うに、ジャンプ力に欠けている選手の多くは股関節を上手く使えてなく、膝や足首、そして手の振り上げだけで跳ぼうとしています。イメージしやすいようにブロックジャンプを横から見た図を右に載せておきます。股関節を曲げた状態から伸ばす動作(股関節の伸展)が肝心です。図では、右の姿勢の方が股関節を深く曲げている分、伸ばす動作の範囲も大きくなりますね。この股関節の伸展とヒザ関節の伸展が良いタイミング(註1)で繋がることがジャンプのコツ、なめらかさの秘密だと言っても良いでしょう。

(註1) この良いタイミングとは具体的にどのようなタイミングであるのか?これについては、股関節をしっかり曲げ伸ばしする事が出来れば、繰り返しジャンプしているうちに自然と身に付くでしょう。参考までに申し上げると、研究では股関節を伸ばし始めるタイミングがわずかに早いようです。本当にわずかですので、意識としては同時だと考えてかまわないでしょう。

 「股関節ってそんなに使えてないものなの?」と疑問に思う方もいらっしゃると思います。この事はタイミング良く先日『あるある大辞典』でも腰痛の話題と関連して触れられていました(コチラ)。少し抜粋してみましょう。かるく上半身を前に倒した場合の話です。

「また、体を曲げる時も本来は股関節を使うため、背骨は正しい状態のまま。」

「ところが高司さんは股関節ではなく、腰で曲げています。」

「これは後ろに反る時も同じ。つまり、股関節が固いと、あらゆる動作で腰に負担がかかるのです。」

 このように、股関節伸展の力を使ってジャンプするどころか、そもそも股関節を動かすことすら出来ていないひとも多いと思われます。

 ところで、『あるある大辞典』ではこの後太ももの表と裏の筋肉(大腿四頭筋とハムストリングス)のストレッチ方法を紹介して結んでいますが、立位体前屈に関してこのような話もあります。立位体前屈が床から何十センチも離れてしまうような人に対し、「腰を曲げるんじゃなく、股関節から曲げるんだよ」という簡単なアドバイスで床に手が届いたんだそうです(うろ覚えなので誇張あり)。右図のような劇的な変化が股関節に意識を持つだけで起こったわけです。いかがでしょう?意外と自分自身も股関節を使ってないかも知れないとは思いませんか?

 ここで股関節を意識できる運動を試してみましょう。左の写真のような姿勢をとることができるでしょうか?
 ポイントは腰や背中を真っ直ぐにする事とヒザをつま先より前に出さないことです。股関節を曲げることを意識すればおそらく出来るでしょう。この体勢からまっすぐ立ちあがり、またこの体勢をとる運動がスクワットです(バーベル(重り)を持つ場合は上半身をここまで前に倒さないほうがよいですが)。このスクワットを素早くこなす事は股関節伸展の力を使ったジャンプにかなり近い運動です。

 股関節を使ったスクワットの感覚を掴むために少しだけ。右の図は『パワーリフター三上のホームページ』からの引用ですが、まさに股関節スクワットのイメージです。膝の位置を固定して、その膝に骨盤を乗せるというイメージです。実際のジャンプは図のようにつま先近くに重心を置いて膝を伸ばす力も利用してジャンプしますが、膝の位置を右図よりもっと後ろにして、足の土踏まずとカカトの中間あたりに重心を置くと、股関節を動かすという感覚をさらに掴みやすくなります。トレーニング初期は重心をカカトに近づけて股関節を使うコツを覚え、慣れてきたら重心をつま先に近づけて実際のジャンプ形式に近づけると良いように思います。

●「力強さ」を体感する

 さて、スクワットトレーニングの詳しい説明はのちほどという事にしまして、「なめらかで力強いジャンプフォームの追求」という本題に戻ります。股関節伸展の力を使ってジャンプする話でした。
 始めの方で股関節の伸展とヒザ関節の伸展が良いタイミングで繋がることはジャンプがなめらかに見えるポイントだと申し上げました。そしてもうひとつ、ジャンプが力強く見えるポイントは股関節伸展のダイナミックさにあると考えています。

 そこで、今度は家の中でダイナミックな股関節伸展を体感してみましょう。『新トレーニング革命』という本の中で「後方スイング」と名付けられているトレーニングです。用意するものはヒザの高さの安定した台(ベッドやイスなど)と、10cmぐらいの高さの丈夫な台です。

 やり方は右の動画を見てもらえばわかると思います。両手でヒザの高さの台をつかみ、10cmぐらいの台に片足で乗ってもう片足をブラブラ垂らします。そのブラブラさせたほうの足を股関節を中心として前後に振るわけです。

 力を入れるのは後方に足を振る最初だけです。後方スイングの後半と前方スイングの最中全ては出来るだけ力を抜きます。腰や背中は出来るだけまっすぐにします。しかし上半身をまっすぐに曲げない意識を持っていても、スイングがリズムに乗ってきて力強くなってくると動画のように上半身も動いてくるでしょう。自然に動く分には構いません。それぐらい力強い股関節伸展の動きを体感してみると意外と楽しいかも知れませんよ。

 ちなみに、スクワットトレーニングのセット間にジャンプするトレーニングが前述のように有名ですが、私の場合スクワットの次にこの後方スイングをやり、ジャンプするとジャンプの高さがかなり変わってきます。よければ試してみて欲しいと思います。

●そして体幹の使い方

 上に挙げた二つの運動(スクワット姿勢&後方スイング)では、腰から背中にかけて真っ直ぐにする意識を持つと書きました。特にトレーニングの王様とも呼ばれるスクワットでは、背中を丸めずにまっすぐ、またはやや反らせることは基本中の基本と言われています。何故ならば、重い重りをもつスクワットでは背中を丸めることは即ケガにつながるからです。それではジャンプ動作中も背中は出来るだけ丸めないほうが良いのでしょうか?

 しかし、自然界に目を向けると迷いが出てきてしまいます。短距離走の王者チーターの存在です。チーターの驚異的な速さの理由として必ず挙げられるのが強靭な筋肉に覆われ柔軟に動く背骨です。このチーターの動きを真似たジャンプは、ヒザや股関節が曲がるタイミングで背中も丸め、その背中を伸ばしながらジャンプすることになるでしょう。

 背中はまっすぐに固定すべきか?それとも丸めてから反らすように伸ばすべきか?この視点からバレーボールやバスケット(NBA)を観察してみましたが、一流選手にも両方のタイプがいました。あえてNBAの選手について述べますと、神様マイケル・ジョーダンはまっすぐ固定するタイプで、そのジョーダンに匹敵するジャンプといわれるビンス・カーターは丸めてから伸ばすタイプのようです。

 このように、私にとってもこの問題は未解決のままです。ですが、今どちらを薦めるかといえば、迷いなく背中をまっすぐ固定するタイプを薦めます。腰痛などを引き起こす可能性が低いと感じられるからです。ただしまっすぐ固定すると言っても胸を張る動作など外からは見えづらい細かい体内リズムはあるはずです。この問題に関してなにか研究成果を見つけ次第、こちらに追加させて頂きます。

●まとめと補足

 以上では特に股関節の使い方を強調してジャンプフォームについて述べてきました。ジャンプで大切な場所というと多くの人は「膝」「足首」「腕の振り上げ」と考えがちですので、それに「股関節」「(体幹のリズムを含めた)タイミング」の2つを付け加えて見たわけです。膝も足首も腕の振り上げも大事ですがこれらは意識しやすく自然と鍛えられます。ですので、より重点的に鍛えるべきなのは「股関節伸展」への意識と体幹を含めた全体のリズムなのです。


第2段階・・・上に書いたフォームを意識して筋力トレーニングを行う

 これまで書いた内容を理解しイメージしながら、目印を目標に繰り返しジャンプ練習をするだけでも人によっては大幅にジャンプ力が上がるかもしれません。ここからはさらにジャンプ力を伸ばすための筋力トレーニングについて説明致します。

 私のトレーニングに関するへりくつの理論的背景は右の2冊の本です。筋肉の量を増やす目的ならば他にもっと優れた手法はあるでしょう。(バーベルをゆっくり降ろしたり、今話題の(?)加圧式トレーニングなどです。)しかし、素早く爆発的な力の要求される実際の動作を念頭においたトレーニングである点で、この2つのトレーニング手法はジャンプ力アップなど競技力強化に非常に役立つと考えています。

 個別のトレーニングの説明に入る前に、これらのトレーニングの目的を確認しておきましょう。
1.なめらかで力強いフォームの習得
2.神経系の発達
3.筋肉の質の向上
4.筋量の増加

この4つの目的は大切だと私が考える順番で並べてあります。もっとも大切なのはなめらかで力強いフォームの習得ですね。トレーニングフォームはこの後各トレーニングの紹介で説明しますが、正しいフォームの重要性は『ジャンプアタック』でも「パーフェクトフォーム」という言葉で繰り返し強調されています。身体の体勢だけでなくリズミカルな動作もポイントです。リズミカルな動作がなめらかさを生み出します。フォームやリズムを崩してまでバーベルの重りを増やす事はデメリットしかないと心得ましょう。

 2.神経系の発達とは、筋肉に対して「爆発的に収縮せよ!」という命令をしっかり伝えるよう、いわゆる運動神経に学習させる事です。3.4.については説明は省きます。

●初動負荷理論と『ジャンプアタック』

 個別のトレーニングに触れる前にもう少しだけ総論を続けます。初動負荷理論の書かれた『新トレーニング革命』を初めて読んだ時は感動を覚えました。貧乏学生だった私は書店に毎日通い、立ち読みで400P近い本を読破したものです。結局我慢できなくて買いましたけどね(笑)

 おっと、話を戻して、初動負荷理論の特色はスクワットやベンチプレスといった基本的なウェイトトレーニング種目にプライオメトリックス的な要素を取り入れたことです。それまでの常識である「ゆっくり挙げてゆっくり降ろす」トレーニングは筋肉を太くする効果は確かに高いのですが、競技力の向上に効果は少なかったと思われます。それを「素早く降ろして素早く挙げる」形式にしたものが初動負荷理論のトレーニングです。

 「正確なスクワット動作はプライオメトリックスの連続」という記述が『新トレーニング革命』に見られます。プライオメトリックスとは筋肉をゴムのように使う方法の事で、反動を利用するトレーニングとも良く言われます。

「プライオメトリックスの特徴を表す表現として、SSC(ストレッチ・ショートニング・サイクル)があります。これは、筋肉に負荷(エキセントリック)がかかり、筋肉が瞬間的にストレッチされ、その直後に筋肉の収縮(コンセントリック)が起こるということです。この素早い筋肉のストレッチ後の、筋肉が生み出す力の大きさは、静止の状態から、筋肉が収縮するときの力よりも大きいものです。この特徴は、簡単な動作から、複雑な動作まで、我々は普段から無意識のうちに行っています。
『友岡和彦のトレーニングガイド第6回 プライオメトリックス(ジャンプトレーニング)-1』より

この記述はプライオメトリックストレーニングの特徴を端的に表したものであり、同時に初動負荷理論の特徴を表したものでもあります。上のサイトからもう少し引用してみます。

この性質を使って、我々は知らずのうちに、瞬発的な動作を行っています。例えば、ランニングバックがカットをきるときには、上体を一度瞬間的に下げて、逆方向への方向転換を行います。また、打者のスイングでも、静止の状態からバットを出す選手はまずいません。一度、体を逆方向に動かした後、素早いスイングを行います。または、常にバットを回したり(リラックスした状態)などして、いつでも筋肉に刺激を与え、瞬発的な動作を行う準備をしています。そして、プライオメトリックストレーニングとは、その筋肉の性質を利用して、より瞬発的な動作のトレーニングをしようとするものです。

いかがでしょうか?プライオメトリックスや初動負荷理論の有効性がぼんやりと見えては来ないでしょうか?垂直跳びなど瞬発力の増強に非常に効果が現れるトレーニングだと思います。

 ところが、いざ初動負荷理論でスクワットトレーニングを行おうとしても実はなかなか難しい面があります。初動負荷理論を解説したサイトを覗いてみましょう。

この初動負荷理論におけるトレーニングは専用のトレーニングマシーンがないと完全には実現できないものではありますが、専用マシーン(BMLマシーン)がなくてもそれに近づけたトレーニング方法もありますし、その理論について知っておくことは野球の動作を考える上でも損にはならないでしょう。
Best performance -baseball site-より

このように、初動負荷理論に関しては提唱者である小山氏のジム『ワールドウイング』(鳥取県)に行かないと習得できないという噂は良く耳にします。そこで、ここに書かれてあるように初動負荷理論に近いトレーニング方法が必要になります。

 こうしてようやく登場するのが『ジャンプアタック』のトレーニングになります(長かった!)。『ジャンプアタック』のトレーニングの特徴は単純明快です。「軽めの重量を一定の短い時間、例えば30秒で出来るだけ回数をこなす」というものです。このシンプルなルールにより初動負荷理論の「正確なスクワット動作はプライオメトリックスの連続」という目標が達せられます。私にとってはかなり画期的なルールでした。

 ただし『ジャンプアタック』のほうはトレーニングフォームに気をつけろとは口酸っぱく繰り返すものの、具体的なフォームの記述は少ないです。やはりトレーニングフォームにも細かく言及している初動負荷理論は私のへりくつとは切り離せない理論なのです。

 総論はここまでにして次から各トレーニングの実施方法に参りましょう。


第2段階(実践編)・・・スクワットの実践

 ジャンプ力アップのために必要不可欠な筋力トレーニングをひとつだけ挙げるなら、それはスクワットでしょう。特別な器具が用意できない場合でも、初動負荷理論の正しいフォーム(股関節スクワット)を覚え『ジャンプアタック』方式で行えばジャンプ力アップに非常に効果があります。
ここではトレーニングスクワットトレーニングをやったことが無い方のために、まずは導入方法から説明しましょう。経験者の方もかるーく読み流して下さい。

●スクワットの導入

 スクワットとはバーベルを担いでしゃがんだり立ち上がったりを繰り返すトレーニングですが、怪我を防止するために様々な注意点があります。細かい部分も含めて身に付けるために最初は筋力トレーニングを良く知っている方にアドバイスしてもらう事が大切です。基本的な説明は紹介致しますが、自己流でやるならば高重量を扱うのは避けて下さい。せいぜい自分の体重ぐらいまででしょう。ご自分の責任で行ってくださるようお願い致します。では参ります。

 スクワットの特に大きな注意点を3つ挙げます。
1.腰を曲げず胸を張って(背中を反らせ気味にする)腹筋を固める
2.膝の向きとつま先の向きを一致させる(同じ方向を向く)
3.膝を前に出しすぎない(つま先より前に出さない)

 スクワット未経験ならば、この3つを意識してまずは軽い棒(ほうきなど)を担いでフォーム作りから始めなければなりません。この3つは怪我を防ぐ意味でもトレーニング効果を上げる意味でも絶対に守ってください。それでは初動負荷理論の「股関節スクワット」の説明と細かい注意点に入っていきます。

●股関節スクワット(1)のフォーム

 まずは何も持たず手を両耳の近くに添えてフォーム作りとリズミカルな動きを試してみてください。

「足の置き方」
足を肩幅に開いて置きます。この時つま先を開いたり内側を向けたりせず前に真っ直ぐ向けます。
「目線」
トレーニング中常に目線は前方やや上をみると良いでしょう。
「膝の位置」
股関節スクワット当初一ヶ月ぐらいは膝は土踏まずの真上で固定した方が、股関節を使うという感覚が得られやすいでしょう。固定とは、しゃがむときも立ちあがる時も常に土踏まずの真上に膝が位置するということです。結果として必然的にお尻が後方に突き出る恰好になります。
「どこまでしゃがむか」
腕の長さに個人差はあるはずですが、「手を膝の前のほうにかぶせられるぐらい」の深さで良いでしょう。あくまで「背中は反らせ気味」「目線は前方やや上」を守ったうえでの基準です。
「立ち上がる感覚」
頭が上から引っ張られているような気持ちで「スッ」っと立ち上がります。立ちあがったらすぐにまた「スッ」っとイスに腰掛ける感じでしゃがみます。
「力の必要なタイミング」
スクワットでもっとも力が発揮されるのはしゃがんでから立ち上がる切り替えの時です。下に落ちてきた体重を支え、そのまま身体を持ち上げるこの瞬間の切り返しを、素早くダイナミックにリズミカルに行いましょう。

 ここで紹介した股関節スクワット(1)は股関節を使う感覚を身に付けるためのものです。重り無しなら一日五十回程度毎日行っても問題ないと思います。ある程度股関節の使い方に理解が深まったら次に進みましょう。そして時々股関節の使い方を思い出すためにこのやり方に戻ってみてください。

●股関節スクワット(1)からより実践的フォームへ

 股関節の使い方のコツが掴めてきたら、もっと実際のジャンプに近づけた動作でスクワットを行いましょう。まずは説明です。右の動画は『新トレーニング革命』に載っているジャンプスクワットの連続写真から作りました。フォームとして上で紹介したスクワットとの違いは、右の動画のほうがやや膝が前に出て、ジャンプするときに膝が後ろに移動する点です(ただし、やはり膝はつま先より前に出さないほうが良いでしょう)。これまで股関節の動きを強調してきましたが、このように股関節の動きに連動し、“やや遅れて”膝も活用するべきです。このタイミングの違いは重要です。「運動連鎖」という言葉でよく表されます。実際のジャンプでは、膝の次はもちろん足首が“やや遅れて”活躍するわけです。

 そしてこのように膝の位置が変わったため、重心の位置もやや前にずらします。つま先と土踏まずの間の「拇指球」あたりに体重をかけましょう。

 もうひとつ再度注意しておきたい事があります。動画で最も下に降りた瞬間ですが、そのシーンは他のコマに比べて長く止まっています。この動画では止まって見えますが、この瞬間は休んでいるわけではありません。先ほども触れましたが、落ちてきた体重とバーベルの重さを股関節で受けとめ、逆に上に押し返すために最大限の力を発揮している瞬間なのです。

 股関節スクワット(1)で股関節を使うコツが掴めた方は、この動画をイメージしてフォームを作ってみましょう。股関節で生まれたパワーが膝、そしてその先へ流れ込むようなイメージです。このイメージを持つことがジャンプ力アップのポイントでしょう。

●トレーニング実施方法

 長らくお待たせました。スクワットフォームが掴めたら、そのフォームを利用してトレーニングに励みジャンプ力アップに繋げましょう。そこで『ジャンプアタック』方式でのスクワット実施方法を説明します。

 『ジャンプアタック』方式は単純明快なトレーニングの取り組み方です。決められた時間内に最大回数を反復するように努力する方法です。スクワットの場合ですと、重りを持たずに30秒間で30〜40回が最初の目標でしょうか?沈みこみが浅いと簡単に回数を増やせますので、膝の横やその下を手で触って沈みこみをチェックしながらフォームを固めつつトレーニングしましょう。沈みこみは膝が直角に曲がるまでというのが私の基準です。

 自分の体重だけでは物足りない方は、これを片脚ずつ行ってみましょう。もう片方の脚はつま先だけ床に着けてバランスをとります。 やはり膝を90度まで曲げて30秒間で30回の反復を目標に行います。一番沈みこんだ瞬間だけ爆発的に力を込め、残りの時間は脱力するのが回数を増やすコツです。膝の悪い方は無理なさらずに。

 この30秒を1セットと数え、1回のトレーニングで3セット〜5セットを週に2、3回のペースで行うだけでも、バーベルなどの道具を使わなくてもかなりジャンプ力は伸びると思います。セットとセットの間に実際のブロックジャンプを10回行ったり、片脚連続ジャンプ10回を行ったりするとさらに良いです。この点は『ジャンプアタック』でも強調されている部分です。


第3段階・・・トレーニング計画の重要性

 トレーニング開始して最初の頃は、計画について細かく考える必要はないと思います。後述する「超回復」の部分だけ理解して休養を取る事の重要性を知っていただければ良いでしょう。その分フォーム作りに神経を集中出来ますね!

 さて、超回復という言葉はこれまで耳にした事はあるでしょうか?筋力トレーニングでは、トレーニングによって筋肉にとても小さな傷を無数に作り(筋肉の破壊)、それが自然治癒力によって回復する時、破壊前よりも全体の筋肉量が増えるという「超回復」の原理を利用しています。この超回復には個人差があるものの48時間〜72時間かかると言われていますので、トレーニングは間を1〜2日空けて行います。しっかり休養を取ることが大切だと言われる理由はこれです。

 ここまでは常識と言えると思いますが、次にピリオダイゼーションという言葉はご存知でしょうか?トレーニング初期を過ぎて持ち上げる重量が伸び悩んだり、『ジャンプアタック』方式で言えば回数が伸び悩んだり、そしてジャンプ力が伸び悩んできたらピリオダイゼーションと呼ばれる計画的トレーニングを導入してみると良いでしょう。

 かなり大雑把に言いますが、ピリオダイゼーションとは(註2)、トレーニングを3週間〜6週間程度をひとつの期間としてとらえ、期間の始めは軽い重量を多くのセット数こなし、期間の後半にかけて徐々に重量を増やしセット数を減らしていくトレーニング計画です。重量が軽い時でも反復回数は変えずに行うのがポイントです。こうすると期間の前半はけっこうラクなトレーニングになり疑問な点も出てくると思います。しかし筋肉や神経系の回復には「超回復」の理論だけでは説明できない複雑な要素がからむため、このピリオダイゼーションは、伸び悩み打破に効果があることが知られています。

 このピリオダイゼーションを効果的に行うには、やはりジムや市民体育館のトレーニング室などの施設を利用するほうが良いでしょう。負荷を適切に調整できる設備が必要だからです。ちなみに私は家にバーベルを置いてあります。40kg程度なので普通のスクワットですと物足りませんが『ジャンプアタック』方式ならかなり役に立っています。もの足りなければ片脚スクワットを織り交ぜたりですね。

 (註2)ピリオダイゼーションは大きな試合に臨むためのコンディショニングを整える目的で期間を分けるという意味でも使われる言葉です。

ピリオダイゼーションについての詳しい計画方法などは以下のサイトが非常に参考になります。

『That’s トレーニング』 ( eBody Journal より。ページ中ほどにピリオダイゼーションの概略の記事があります)
『トレーニング理論』 『パワーリフティング&スポーツトレーニング 河瀬哲也のホームページ』より



まとめ・・・ジャンプ力アップへの道筋

 ここまでのまとめを兼ねて、ジャンプ力を伸ばす過程を見て行きたいと思います。

1st STEP
股関節伸展力というものを理解します。
2nd STEP
股関節スクワット(1)などで股関節を伸展する感覚を感じ取り、身に付けます。
3rd STEP
少しだけ膝を前に出し、拇指球に重心を乗せたスクワットフォームを身に付けます。(股関節→膝→足首の力の流れをイメージします)
4th STEP
『ジャンプアタック』方式トレーニングを週2、3回行います。
5th STEP
伸び悩んできたらピリオダイゼーションを勉強し取り入れます。
6th STEP
ジャンプ力30cmアップ!!!

 ジャンプ力30cmアップが達成できたら素晴らしいですね!30cmとはいかなくても「ここで紹介したトレーニングでジャンプ力が伸びた!」等の報告お待ちしております。メールや掲示板でお願いしますね!


さらなるトレーニングの紹介

 最後になります。これまでトレーニング方法としてはスクワットのみの紹介でしたので最後にもうひとつ紹介させていただきます。ウェイトリフティング(重量挙げ)の選手が垂直飛びの能力に優れているのは有名な話ですが、彼らのトレーニングをひとつ紹介致します。クイックリフトと呼ばれるトレーニング分類に含まれるパワークリーン(ハイクリーン)という種目です。ウェイトリフティングで選手が床においてあるバーベルを一気に肩まで引き上げますが、あれがパワークリーンです。

 このトレーニングは『ジャンプアタック』でもものすごい効果があるとされていますし、先ほどホームページを取り上げた河瀬哲也さんもご自身のホームページの中でパワークリーンの重要性を説かれております。

 ただし、このパワークリーンに取り組むのはスクワットがだいぶ慣れてからにしましょう。そしてぜひぜひパワークリーンを良く知っている方の指導を受けてください。正しいやり方をすれば効果も物凄いでしょうけど、一つ間違えれば身体を壊す諸刃の剣です。

 ぜひ指導を受けるべきですが、一応参考までにフォームの連続写真のあるホームページにリンクしておきます。
クリーン連続写真 『ウエイトリフティングの練習考え方』より

 ここまで読んでいただきありがとうございました。目指せジャンプ力30cmアップ!!ですよ!

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一見すると本書は、書店でよく見かける、大昔の常識をそのまま載せた入門書の仲間ようにも見えます。しかし、内容の誠実さは群を抜いて素晴らしいものがあります。

肩書きだけの入門書(元全日本など)とこの本とを同じようなものだと考えると、バレーボール人生において損をすることになるでしょう。

書店にも良く置いてありますのでぜひ一度手にとってご覧下さい。

『基本から戦術まで バレーボール』についての詳しい書評やコメントの投稿はこちら

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