水平方向への移動について

 静止状態から水平方向に動くためには重心に水平方向の力を加えて水平方向への加速度を得る必要がある。

 人間の場合、蹴り足の接地点から重心方向への力(右図太線)だけが水平方向へ動くため加速度となりうる(この他の方向への力を得ることはできない)。

 蹴り足の接地点から重心方向への力は鉛直方向の分力が重力と釣り合うだけの大きさまでしか出すことはできない。残りの水平成分(右図の合力)が水平方向への加速度となる。


 従って重心を低くすれば低くするほど接地点と重心を結ぶ線と水平方向のなす角度が小さくなり、水平方向への分力を大きくすることができる。(右図参照。足の長さは変えられないので重心と接地点の距離は変えられないのです。足が長ければそれなりに重心は高くて良いという事です。)

 しかし、接地点と重心を結ぶ線と水平方向のなす角度がある程度以上小さくなると重力と釣り合うだけの力を出すことができないため、この角度には限界がある。

 また、蹴り足の接地点から重心方向へ大きな力を出すためには膝を内側に絞って低く構えるのが有利。

 低く構える意義は、すばやく動くためです。

(2000年4月)